シェアハウスに住むことが新しいライフスタイルとして注目を浴びています。
シェアハウスとは、要するに一つの家に他人が複数住む家のことです。新しいライフスタイルとして若者に広がってきていますが、今後は若者だけでなく、幅広い年齢層に広がっていくでしょう。おのずと、不動産投資の有望な選択肢の一つになります。
しかし分譲マンションをシェアハウスで賃貸する場合は、それ特有の問題もあり、新しい居住形態であるだけに、ノウハウも蓄積されていません。
手持ちの不動産をシェアハウスにしようか迷っている方、又はこれからシェアハウスのオーナーになる方向けに、注意しておくべきことをまとめてみました。
なぜ今シェアハウスなのか?
一つには、若い世代を中心とした生活様式や価値観の変化があげられます。それまで関係がなかった者同士が共通の価値観のもとで共同生活していくことに抵抗が少なくなってきています。例えば英語を話せるようになりたいと思っている学生が何人かいるとします。そこに英会話レッスン付のシェアハウスの入居募集があったとしましょう。英会話レッスンを受けれるのもメリットですが、同じ世代の学生が同じ家に住んで、日常会話も英語でするとしたら、英会話習得に絶好の環境ですし、同じ価値観を持った仲間もできます。その学生さんはそのシェアハウスに入ってみたいと思うでしょう。
しかも、自分ひとりで住むより、シェアハウスのほうが賃料が安くなるとしたら、尚魅力的です。
価値観や目的を同じくする人が共同生活することは、今後広がっていくでしょう。そしてこれらのニーズに応えるべく、単に賃貸するだけでなく、シェアハウスにして、複数人に貸し出すいわゆる「シェアハウス投資」が注目されているのです。
シェアハウスは、戸建や賃貸アパート、賃貸マンション、分譲マンション、いずれの場合もありますが、今回は、特に分譲マンションの家主(所有者)が、複数の家を借りる人と契約する場合の問題点や、シェアハウス投資をするならこの点を注意しておいたほうがいいと思われる点を取り上げていきたいと思います。
年々拡大するシェアハウス市場
民間会社の調査によると、シェアハウスの市場規模は年々拡大していますが、2012年時点では関東だけでも2,000以上の物件があり、2007年に比べると5倍になっているそうです。確かに伸びていますが、賃貸物件全体に占める割合は微々たるものです。
まだまだ発展の端緒という感もありますが、家主にとっては、同じ面積の物件を一人に貸すのに比べ、複数人から賃貸料を取れ高採算であることから今後有望な選択肢になっていくでしょう。
企画次第で高収益・シェアハウスの魅力とは
シェアハウス投資成功の秘訣は企画力だといわれます。物件にどんな付加価値をつけるかという視点で企画を練ってみましょう。
特色のあるシェアハウスの例
英語が学べるシェアハウス:英語が学べて友達と英語でおしゃべり、楽しそうなシェアハウスですね。
リーズナブル(低家賃)シェアハウス:学生さんやフリーターに的を絞ったらこういう選択肢もあります。
都心の高層マンションをシェア:一人では、家賃が高くてとても住めませんが、何人かで住んで、家賃負担を減らす手があります。
外国人旅行者が長期滞在するシェアハウス:外国人向けのシェアハウスは昔から多くありました。
漫画家を目指す若者向けのシェアハウス:手塚治虫や赤塚不二夫など著名な漫画家が青春時代を送ったトキワ荘が有名ですね。自治体が町おこしや空き家対策でプロジェクトを進めている例が多数あります。
シェアハウスは管理も大事
シェアハウスは他人同士が半共同生活するもの、一緒に生活する以上トラブルはつきものです。また良好なコミュニティを作っていくためにもそのようなノウハウのない個人はプロの手を借りざるをえません。
プロの手を借りるとなれば、当然管理費用がかかってきます。家賃回収やトラブル対応などの業者委託費は、家賃の約20%が相場になっています。空室保証も入れれば家賃の40%程度になるようです。
管理費用は普通の賃貸物件よりかなり割高ですね、利益に大きく影響してきますので、十分考慮する必要があるでしょう。
トラブル例
家賃の滞納、不払い、近隣住民や同マンション内入居者とのトラブル、シェアハウス入居人同士のトラブル(盗難や暴行、詐欺など)、無論これらのトラブルの全責任を負うわけではありませんが、マンションオーナーである以上、所有者責任がかかってきます。
脱法ハウス、違法貸しルームとは?
シェアハウスの中には、マンションの専有部分を簡単な壁で小さな空間に仕切り、多数の入居者に貸し出すものがあります。国土交通省は、これらの物件は、建築法上の寄宿舎に該当する為、間仕切壁を準耐火構造とすることが必要であるとの見解を示しています。(平成25年6月10日付け国住指657号国土交通省住宅局建築指導課長通知)
そして、違反の疑いのある物件について、地方公共団体の立ち入り調査や、是正指導を実施するよう要請しています。
建築法上問題がある「脱法ハウス」や「違法貸しルーム」と呼ばれ、社会問題化していますね。
収益だけを考えれば、多数の入居者に簡易な改修費用だけで貸し出せるのですから、一番効率がよいのでしょう。しかしこのような法律無視の「脱法ハウス」「違法貸しルーム」は論外ですが、建築基準法に抵触しない場合はすべてOKなのでしょうか?
区分所有マンションをシェアハウスにしたい、そのとき立ちはだかる壁とは?
管理規約上の制限
管理規約でシェアハウスとしての利用を禁止している場合があります。このような場合もシェアハウスとして貸し出すのは通常困難でしょう。規約の改正を行ってからの話になります。シェアハウスとしての利用を禁止する規定が有効かどうかを法的に争うことは不可能ではないですが、時間的にも費用的にも現実的ではないでしょう。
規約にはなくとも、ここまでしておけば安全
リフォームの際の管理組合への届出
マンションをシェアハウスにするのに、改修工事が必要になってくる場合、改修する内容を管理組合に報告しておくべきでしょう。管理規約で報告を義務付けている場合はもちろんですが、マンションによっては、管理規約で定めていないケースもあります。しかしシェアハウスは特殊な居住形態になりますので、何らかの形で管理組合に内容を連絡しておくべきでしょう。後々のトラブル回避のためにも重要です。
居住者名簿の提出
管理規約で、居住者名簿の提出を義務付けている場合があります。この場合、シェアルームの居住者が変われば、提出しておかないといけません。
借りている人に、誓約書の提出を義務付ける
シェアハウスを借りて住むということは、そのマンションの管理規約を守って生活してもらわないといけません。仮に管理規約に誓約書の提出を義務付ける条項がなくとも、入居段階で決まりを守らせる意識づけをするたことにもつながり有効でしょう。
賃貸契約書に規約遵守条項、契約解除条項を盛り込む
分譲マンションをシェアハウスとして賃貸することに対し、他の居住者はあまりいい顔をしません。
違法な改造をしているのではないか?。
何人もの人が出入りして、騒がしいし大丈夫か?
ゴミを多く出したり、騒音やたばこ、マナー違反して、迷惑をかけてもらっても困る。
こんな感じです。反対の立場で考えてみたらよくわかると思います。壁や床を隔てて隣がシェアハウスだったとしたらやっぱり自分も心配するでしょう。
他の入居者の不安を少しでも取り除く意味でも、賃貸契約書の中に、「規約を遵守する」、「迷惑行為等の禁止」、「迷惑行為があった際の契約解除」を盛り込むとよいと思います。
まとめ
まだまだシェアハウスの数はそう多くはありませんし、これからノウハウも蓄積されてくると思いますが、参考になれば幸いです。