巷にあふれる「ワンルーム投資術」のリスクを解説

「ワンルーム投資術」なるものが巷に出回っており、個人やサラリーマンをターゲットに、手堅く初心者でも手軽に手がけられる不動産投資として紹介されています。この度は、ワンルーム投資に潜むリスクについて、解説したいと思います。

興味を持たせる手法

このような方法で投資に対する興味を持たせます。

〇年金破綻・金融庁が発表した老後の「2000万円問題」にみられるように、サラリーマン・OLが自分のもらえる賃金、年金だけでは生活水準が保てず、今後も生活水準を維持するためには、何らかの資産形成・サラリー以外の収入を得ることが必要である。

〇自分のもらえる年金額を試算し・長生きすることのリスクを直視させたうえで、老後の収支計算をし、1,〇〇〇万円不足するという現実を突きつける。

〇必要な差額を埋めるために、将来自分が幸せになるように投資を始めませんか?

このような手法で勧誘します。

どんな投資がいいのか

次に、素人が手を出す投資でなにがよいか誘導します。

〇株・FXなど、金融商品は予想がつきにくい、専門知識や日本国内や国際情勢などにもアンテナをはらないといけない等、時間に制約のあるサラリーマンが手を出すには敷居が高く、素人が中途半端に手を出すと大損する可能性がある。

〇また不動産の中でも、一棟ものや区分所有権ものなどの種類があるが、投資金額が大きく、管理運営に専門知識が必要な一棟ものや木造貸家などとは違いワンルームは素人でも敷居は高くない。

〇ワンルーム投資は、ハイリターンは望めないものの、リスクは限定的で素人でも安定収入を望める。

このようにワンルーム投資に誘導していきます。

老後月収〇〇万円を目指す方法

投資手法は以下の通りである。

〇築20年前後のワンルームを「現金+ローン」で購入(2000万円前後)

〇売却せず長期保有する

〇ローンを繰り上げ返済する ⇒13年で完済

〇2戸目を「現金+ローン」で購入する。1戸目のキャッシュフローを2戸目の繰り上げ返済に充てる。⇒約8年で完済

〇3戸目を「現金+ローン」で購入する。1戸目・2戸目のキャッシュフローを3戸目の繰り上げ返済に充てる。⇒約6年で完済

〇4戸目を「現金+ローン」で購入する。1・2・3戸目のキャッシュフローを4戸目の繰り上げ返済に充てる。⇒約5年で完済

〇最初の1戸購入後25年後には、4戸の無借金のワンルームが手に入る。

◎投資の負担は、最初のローン1500万円程度+自己資金500万、+繰上返済はプラスαで、最初の一棟の完済をどれだけ早められるかによって、2~4戸目を無借金で取得できる年数が変わってくる。またサラリーマンの与信枠を考えても大きな借り入れをすることなく資産形成できる。

ここでは、25年後に、ローン返済がなく、家賃はまるまる収入になる状態、つまり老後月間20万円収入がある状態です。と説明されます。

築年数が古いマンションに起こること(リスク)

さて、一見バラ色に見えるワンルーム投資に落とし穴はないのでしょうか

私はマンション維持修繕に携わっていますので、築年数が古くなったマンションに何が起こるのか知っています。

◎収支計算に修繕積立金改定が反映されていない

収支計算書をよく見てください。現時点の修繕積立金と、25年後の修繕積立金が同じですか。もし同じであるなら、修繕積立金は上がる前提で考えてください。

修繕積立金の積立方法には、計画期間中均等に積み立てる「均等積立方式」と、当初の積立額を抑え段階的に値上げする「段階増額積立方式」があります。また、修繕時における一時金の徴収等を併用する場合もあります。

多くのマンションは、段階的増額積立方式を採用しています。参考までに国土交通省の積立方式に関する資料をご覧ください。

◎修繕費は本当に修繕積立金だけで足りるのか

ワンルームとは言えマンションの区分所有者ですので、修繕責任は最終的に区分所有者にあります。築古マンションで多い事例が、大規模修繕工事の費用が足りなくなることです。その場合工事仕様を落とし、マンション管理組合で借り入れを起こす場合があります。これはマンションの資産価値の下落につながります。またオーナーで修繕一時金を出費し工事費を賄う場合もあります。

エレベーター設備は築後27・8年目でフルリニューアル時期を迎え多額の費用がかかります。機械式駐車場の修繕を考慮しないといけません、費用が掛かるので撤去するマンションもありますが、利便性の低下による資産価値の下落・家賃の下落リスクがあります。

◎お部屋内の改装費用・リフォーム費用は収支に入っているか

特にキッチン・お風呂等は15年程度でフル交換を行う場合が多いですがその費用は想定していますか?

◎25年後、本当に今の家賃取れるか?

収支計算書を見てみてください。家賃が今と同等に設定されていませんか。もしされていたら、築年数経過による下落分を考慮してみてください。参考までに国土交通省の年間家賃データを示します。

【国土交通省の不動産市場データベースによる年間家賃データ】

10年未満:37,851円/㎡

10年以上20年未満:26,594円/㎡ 下落率30%

20年以上30年未満:19,698円/㎡ 下落率48%

30年以上:20,300円/㎡ 下落率46%

◎マンションの税法上法定耐用年数を知っていますか。

47年です。あくまで税法上の減価償却年数ですので、47年たったらもうすめないかというとそうではありません。

しかし、国が定めた法定耐用年数を超えたということは、資産価値を図る目安になるのではないでしょうか。私も木造古家を賃貸していますが、古すぎて築年数が正確にわかりません。それでも入居しています。築50年を超えたマンションはそう多くはありませんので事例は多くありませんが、売買されていますし、賃貸もしています。ただ、漏水事故や設備不具合は多発しており、オーナーさんの負担も多くなるとみておいた方がよいでしょう。

◎築40・50年のマンションに住む入居者像

想像に難くないですが、当然レベルが下がります。差別するわけではありませんが致し方ないところです。オーナーとしては、家賃未納はもちろん、生活不安(暴力・騒音・異臭・ゴミ屋敷・ごみ放置・犯罪・器物損壊等)の心配もあります。これらは、オーナーの管理責任にもかかわってくるところです。

ワンルーム投資の評価

結論:マンション販売業者が作る収支計算書を鵜呑みにするのではなく、考えられる出費やリスクを総合勘案してみてください。25年後、築40年・50年のワンルームを4・5戸持っていることが、どんな収益を生みどんなリスクを発生するか、もう一度検証しましょう。

ヒント

金融商品と比較するため、上記リスクを踏まえ、20年・30年の収支計画を自分で作り、出資した金額に対する利益をだしてみれば、利回りが計算できます。

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