今回は、はじめて日本に住むことになった人(外国人)が、マンションを購入しようか、賃貸で借りて住もうかいろいろ悩んだ末、借りて住むことを決め、住み始めた感想の話です。
●はじめて日本に来て住もうとする外国人の方に、是非読んでいただきたいと思います。
●マンション(特に分譲マンション)にフォーカスを当てていますが、一戸建てやその他の家に住もうとするときも参考にしていただけます。
外国から日本に来て生活しようとすると、色々なことに戸惑います。それが新鮮であり驚きもあります。
●外国から来た人が、日本で暮らそうするときよくある障壁と、どんな風に対処したらよいか、ヒントを得ることができます。
●家探しのヒントとなる選び方や住んでから困ること、驚くことが分かります。
日本で暮らすことになったことを友達に伝えると様々な反応が・・
私の夫はある多国籍企業で働いています。最近日本に異動することが決まりました。私は夫と子供と一緒に日本に行こうと思っています。
(私のプロフィール)
居住地 | 米国生まれ |
職業 | イラストレーター(現在休職中) |
年 齢 | 30歳 |
家 族 | 夫と子供1人(3歳) |
現在の住まい | アパート |
世帯年収 | 53,000ドル(日本円で約800万円) |
趣味・特技 | バドミントン、日本語(片言だけ) |
ある集まりでの会話、自分が仕事で日本に行くことを告げると、友達から様々な反応がありました。
今度夫が、仕事で日本に行くことになったの、私も一緒についていって、住むことにしようと思うの。わくわくする。
まずは家探しね、どうやって調べたらいいのかなぁ
日本に住むんだって?
日本は良いところだと聞いている、治安もいいし、食べ物も旨いそうだ。!
僕は不動産屋だから、家探しのことは任せてくれっていいたいとこだけど、あいにく日本のことはよくわからいなぁ。でもできるだけフォローしてみるよ。
家のことだけじゃないわ、生活のことも、だいぶ違うみたいよ。
私の知り合いで日本に住んでいる人がいるの、色々聞いてみたらいいわ
色々心配してくれてありがとう。調べてみることにするわ
いってらっしゃい、会えなくなるのは寂しいけど、
あなたのよい日本での生活が待っていますように
私は、日本について、異文化への憧れと期待を抱いていました。でも家探しはハプニングの連続、そして日本でのマンション(アメリカではApartmentといいます。)生活は驚きと発見に満ちていました。
言葉の壁を乗り越える!コミュニケーションが上手くいく方法
早速日本に住んでいるという、知り合い(中国人女性)を紹介してもらい、連絡を取ってみます。そして、日本での家探しがスタートします。
こんにちは、日本のことはわからないのよ。色々教えてね。
日本語は少し勉強したけど、よくわかんないの。スマホでわからない言葉は翻訳できるけどね
私は日本に来てだいぶたつわ。少しは日本のことがわかるわ、なんでもきいてね。
ありがとう。あなたが日本のことを教えてくれるからとても
助かってるわ。色々教えてね。
家探しは順調かい?
それが上手くいかないのよ。日本語が分からないしね。
こういうのって不動産会社に出向いて教えてもらうのかしら?
僕が知っている限りだと、いきなり不動産を買って住むのは
厳しそうだ。
ありがとう。めげずに探してみるわ、翻訳はできるけど、知らない地名ばかり、
それに敷金ってなんだろう?
日本に来て困ることは、日本語がわからないことです。
日本に来た外国人が、日本語が分からず困った場合、以下のいくつかの方法が役立つでしょう。
英語が母国語なら、思い切って英語で話しかけてみるのもよい
意外だと思うかもしれませんが、大抵の日本人は外国の人に対して親切です。言葉はわからなくても、例えば行きたいところをスマホの画面や、パンフレットの紙面で指し示すと、なんとか教えてくれることも多いでしょう。
日本では、小学生から英語が授業に組み込まれています。また、英会話を習得している日本人も多くなってきています。
ヒアリングは苦手な人も、文字で示せば、英語を全く理解できない人は少ないでしょう。
日本人は大抵恥ずかしがりやよ。自分からは話しかけてこないかも
でも、自分からアプローチしてみれば、親切だってことがわかるわ
1位 英語 :日本人は学校で英語を習います。ヒアリングは苦手でも、英語を読むことは上手です。
2位:ハングル(韓国):ハングルの場合、文字は違えど、日本語と同じように漢字から由来しています。語順や発音も共通点があります。
3位:中国語:漢字で表された言葉は日本人には理解しやすいです。紙に漢字を書くと、日本人に伝えやすいでしょう。
耳からより、目からの方が理解してもらいやすい
日本人は、紙に書かれた英語(英単語)は理解しやすいです。スマホなどの画面も同様で、耳からより、紙に書く、スマホやタブレットの画面に文字を映し、日本人に理解してもらうことは十分可能です。
スマートフォンをフルに活用する 翻訳アプリ等
スマートフォンに翻訳アプリをインストールしておくと何かと便利です。ウェブブラウザでも簡単に母国語に翻訳できます。
家探しで、外国人であることのハンディキャップを痛感
日本は、各国を比べてみても、外国人が不動産の取引する際のハードルは低めです。
しかし現実は、外国人が住もうとする時、見えない壁があります。
日本という国が単一民族国家であるため、外国人を特別だと扱う国民性が要因として挙げられます。そして、外国人が、問題やトラブルを起こすと、外国人というだけで「信用できない」「何か問題を起こすのでは」の連想が働き、目に見えない障壁となって立ちはだかるのです。
このような、外国人に対する差別的な考え方によって、「気に入ったところがあって購入をしようとしたが断られる。」等、取引の障害になる場合が往々にして発生します。
夫の職場から近いところに、マンションが売りに出てるみたい。
エスクローサービスを探してるけど、日本ではないのかな?
日本では、エスクローサービスは一般的じゃないみたいだな。
Zillowのような不動産物件情報データベースがあれば探してみるのだけど
一般の人が閲覧できるデータベースは日本にはないようだ。
日本国内の不動産ポータルで有名どころならここだな
SUUMO、HOME’s、at home
ここは外国人向けに力を入れているところだ。
GTN | 株式会社グローバルトラストネットワークス
エスクローサービスとは:
エスクローサービスは、買い手と売り手の間に信託銀行や第三者が介入し、売買代金や契約書書類などの管理を行うサービスです
★日本の不動産取引では、通常、売買契約が成立した後に売買代金が一括で支払われることがほとんどで、エスクローサービスの利用は皆無といってもいいでしょう。
不動産情報データベースとは:
MLSと呼ばれ、不動産の売り情報をリスト化・共有化して取引を支援する仕組みのことです。
MLSの情報を基に、一般の人が利用できるようにした「Zillow」等のWebサイトが有名です。
★日本にも、REINSという類似した仕組みがありますが、業者しかアクセスできないことや、情報量や利便性に大分差がある様です。
日本独自のルール、賃貸の場合
敷金、礼金、更新料とは
敷金をなぜ家主が預かるのか?。第三者機関に預けておくシステムが合理的なのに?。日本は近代国家なのに、前近代的な仕組みが未だに残っているのですね。もっとも退去時の原状復旧費用は借主が責任を持つのは多くの国で変わりませんが、家主が一方的に敷金を差し引く「敷き引き」制度も日本独特です。
保証金と敷金を払ってなぜお礼に金を払うの?。理解に苦しむと思いますが日本固有のルールです。
長く契約し、家主にメリットがあるのに、なぜ更新料を払うのか? 逆に家賃を割り引いてもらってもいいくらいだと思うかもしれません。 でも、「郷に入れば郷に従え」という諺にあるとおり、日本の昔からある契約慣習に従わざるを得ませんね。
(参考)契約の時必要となる身分証明書の例
契約時に必要となる身分証明書は、出身国によって異なり、以下の通りです。
出身国別 | 身分証明書の例 |
米国 | 社会保障カード(社会保障局)/ 運転免許証(州政府道路局、自動車局) |
ドイツ | IDカード(Personalausweis) |
スペイン | IDカード(Documento Nacional de Identidad) |
ベルギー | IDカード(eIDカード) |
オーストリア | 健康保険証カード |
中国 | 居民身分証(住所地の公安局) |
韓国 | 住民登録証 |
台湾 | 国民身分証 |
香港 | 香港身分証(Hong Kong Identity Card)智能身分証 |
マレーシア | MyKad(多目的ICカード) |
タイ | 国民身分証 |
管理組合から敬遠される外国人 その理由とは
今回の例では、日本に住む外国人の例でしたが、分譲マンションを購入した外国人が国境を隔て海外に居住している場合、管理組合に参加することが難しくなる場合があります。
総会・理事会に出席することが困難
海外に住んでいれば、総会や理事会の度に日本にやってくるのは、現実的に不可能でしょう。また、WEB会議システム(Zoomのようなチャットをイメージしてください)が導入されていれば、会議には参加できます。
しかし、未収納金が発生時の回収の手間や、全戸実施の排水管清掃や消防設備点検、漏水調査で戸内での調査が必要になってくる場合など、
管理組合の運営は、オーナーが身近にいればこそ成り立っている点も見逃せません。
ですので、海外居住者は往々にして敬遠され、マンションに実際住んでいる外国人も、将来的にリスクを抱える存在だとみなされるのです。(表向きは所有するのは自由ですが、見えない障壁があることは見逃せません)
日本で嫌われる外国人の生活マナー
外国人の居住者が、勝手に他の人に貸していた(無断転貸)、勝手に他の人を住まわせていた(無断同居)事例が多くあります。無断転貸や無断同居は、外国人に限ったことではないのですが、大家さんや近隣居住者は毛色や肌の色がちがう外国人をどうしても色眼鏡で見てしまうようです。
外国では、同居人が増えたりしても家主に知らせないことは往々にしてありますが、日本では家主に連絡することになっています。
トラブルなく長く住もうとする場合には気を付けましょうね。家主や管理会社に知られると契約違反として退去を迫られる原因にもなります。
ハンディキャップのまとめと対策
言語の壁
不動産の契約書の言語も日本語、説明も日本語の場合が多いでしょう。マンションのルールブックである管理規約もほとんどの場合日本語で書かれています。日本語に不慣れな場合、通訳や翻訳サービスを利用するだけでは不十分で、外国人向けの不動産エージェント、不動産会社を探してみてください。
商慣行の違い
敷金、礼金等、日本特有の制度や、住宅探しや契約プロセスにおいて、日本独自の商慣行があります。
身元確認
外国人である場合、身元確認や保証人の問題から契約を断られるケースがあります。
特に、滞在期間が短い場合や信用履歴がない場合は重要視されます。
保証人や賃貸保証サービスを利用することで、これを解決することができます。
外国人差別
一部の不動産業者や所有者が外国人に対して差別的な態度を取ることがあります。外国人との取引実績の豊富なエージェントや不動産会社を選ぶことが重要です。
日本に住むと驚くこと・カルチャーショック
日本では靴を脱いで家に入るのって本当?
日本では、家の中に入るのに靴を脱ぐん
ですって。教えられたわ
私も最初日本に来た時、そういわれてとても違和感が
あったわ。でも今は慣れたわ
フロア?畳っていうのね、座って生活するから
靴を履いて、入ってはいけないってわけね。
間違えて靴を履いたまま他の家に入っちゃったら
どう思われるかな?
それは、とてもスリリングな体験になると思うわ。
日本ではこういう風に言われている
「人の家に土足で上がりこむ無礼な人」
これを聞いただけで、靴のまま家の中に入られた
日本人がどう思うか、想像できるでしょう?
日本の文化では、外と内を区別する意識が強く、靴は外で履くものという考え方が根付いています。そのため、靴を履いたまま家に入ることはとても失礼なことなのです。ほとんどの家は、靴を履いたままで家に入ることはしません。
お風呂とトイレが別? トイレにウォッシュレットなるものが付いていて怖い・・
お風呂とトイレが一緒になっている家で暮らしてきた人にとっては、お風呂とトイレが別々だということにどうしても違和感があります。
日本の住宅で比較的一般的な配置である理由は、お風呂とトイレの使用を分離することで、衛生的な環境を維持しやすくするためであると言われています。
また、トイレにウォッシュレットと呼ばれる機能が付いていることもあります。
ウォッシュレットは、トイレを使用した後に水洗トイレの代わりに使われる洗浄機能のことです。一般的に、ウォッシュレットには水を使った後方からの洗浄、温水洗浄、暖房便座、乾燥機能などが備わっています。これにより、トイレの使用後に手間を省き、清潔な状態を保つことができます。
初めて見たときは少し驚くかもしれませんが、実際に使ってみると便利さや快適さを実感することでしょう。安心して利用してください。
住むのに細かな規則があって驚き 守れるかな?
マンションに住む場合、ルールブックである管理規約一つとっても、諸外国に比べ精緻に細かいところまで決められていることに驚くでしょう。媒体は日本語でも、スマホでスキャンして母国語に翻訳してみてください。
又貸しは禁止、ペットの種類、ピアノや楽器の騒音規制、自転車の停め方、車の置き方等々、日本人は細かく規定するのが好きな国民です。こういったところによく表れています。
外国人が日本のマンションに住んでみて思う事
外国人が日本のマンションに住んでみて、様々な感想を抱くようです。
良い点
- 安全性の高さ: オートロックや防犯カメラ等、多くの分譲マンションで標準装備されています。
- 清潔さ: マンション内が清潔に保たれていることに好印象を持つ外国人が多いです。ゴミ出しのルールやマナーも徹底されている点は、特に評価されています。
- 設備の充実: 多くのマンションには、オートロックや宅配ボックス、追い焚き機能付き風呂など、便利な設備が充実しています。
- 家賃の安さ: 欧米諸国と比べて、日本の家賃は比較的安いと感じている外国人が多いようです。
- 管理の精緻さ:綺麗好きな国民性もあり、清掃が行き届いていると感じる人が多いです。
悪い点
- 収納スペースの少なさ: 日本のマンションは、欧米諸国の住宅と比べて収納スペースが少ない傾向があります。
- 防音性能: マンションに住めば、騒音はある程度許容しなければいけません。
- 畳: 畳の部屋は、外国人には使い慣れず、手入れが大変と感じるようです。
- ペット飼育: ペット飼育可のマンションが少ないです。
- 外国人への偏見: 集合住宅で顔をあわせることも多い住民も最初は外国人であるという事だけで、距離を置きがちです。慎重で恥ずかしがりやの国民性もありますが、思い切ってコミュニケーションを取ってみましょう。
日本のマンションの特色
部屋のサイズとレイアウト: 外国の一般的なマンションに比べ日本のマンションは狭く、部屋数も少ない傾向があります。
外国のマンションでは、一般的にリビングルーム、ダイニングエリア、複数の寝室、そして複数のバスルームがあることがよくあります。一方、日本のマンションは一般的にコンパクトで、一般的に1〜3部屋の間取りが一般的です。
出身国による感じ方の違い
外国人の出身国によって、日本のマンションに対する感想は多少異なります。
- 欧米人: 欧米人は、日本のマンションの収納スペースの少なさに不満を持つことが多いようです。また、防音性能が低いことも、ストレスに感じるようです。
- アジア人: アジア人は、日本のマンションの清潔さや設備の充実さに満足していることが多いようです。また、家賃の安さも魅力的だと感じているようです。
まとめ
日本のマンションには、安全性や清潔さ、設備の充実、細やかな管理体制など、多くの良い特徴がありますが、一方で、収納スペースの少なさや防音性能の低さ、管理の制約から感じる窮屈さなど、留意しておくこともあります。
また、生活スタイルの違いから、思わぬトラブルに発展しないよう配慮することも大切です。コミュニティに馴染み、日本人の文化と調和する柔軟さを持てるかどうかも、生活を充実させていく上で重要です。
日本にきてよかったと思えるよう、頑張ってくださいね。
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