役員の決め方で最適だと思われている「輪番制」の落とし穴とその補完方法

マンションの役員の決め方で最適な方法は 輪番制なのか 管理組合の運営
マンションの役員の決め方で最適な方法は 輪番制なのか

分譲マンションで、管理組合の運営がうまくいくかどうかは、理事会が有効に機能するかにかかっています。

この記事は、以下のような人におすすめです。

・マンションの理事会メンバーになった人

・マンションの管理運営に興味がある人

 

理事会の役割と責任

理事会は、区分所有者全員で構成されるマンションの管理を行う団体である管理組合のさまざまな業務を遂行する責任があり、理事会が健全な意思決定ができるメンバーで構成されていることが重要です。

Board meeting scene at a condominium

この記事では、理事会のメンバーを任命する様々な方法を探り、輪番制が最も効果的であると考えられる理由、そして、輪番制の弱点を補強する方法を説明します。

それでは、どうぞ!

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理事会の選任方法の概要

マンションの理事を選任する場合、いくつかの異なる方法があります。最も一般的な方法としては下の3つがあります。

選挙で決める(立候補制)

  • 理事会のメンバーは、分譲マンションの所有者すなわち管理組合を構成する組合員によって選出されます。これは最も民主的な方法であり、組合員が最も適任と思われる理事を選ぶことができるからです。

任命する方法

  • 理事会のメンバーは、マンションの事業主(デベロッパー)または管理会社によって任命されます。この方法は、マンションがまだ開発段階にあるときによく使われる方法で、デベロッパーや管理会社は、資格があって健全な意思決定ができるメンバーを選出し、理事会を構成することとなり、マンション管理組合の設立時に理事会メンバーを保証することができます。マンション管理組合の設立総会で任命されることとなります。

輪番制

  • 理事は輪番制で任命されます。この方法により、異なる区分所有者(組合員)が理事を務める機会が確保されるため、より多様な理事会を実現することができます。

輪番制のメリット

輪番制は、他の理事選任方法と比較して、いくつかの利点があります。最も顕著な利点は、以下の通りです:

色々な人が役員になれ、多様性を確保できること

  • 輪番制にすることで、異なる区分所有者(組合員)が理事を務める機会を確保し、より多様性のある理事会にすることができます。これは、異なる視点や意見を理事会に反映させることができるため、有益であると言えます。

一握りのメンバーでなく、マンションの中の順番で選ばれたメンバーで構成され、幅広い意見を集めることができるんだ。

説明責任(一定期間の任期の間に実績を出そうとする)

  • 輪番制はまた、理事がその決定に責任を持つことを保証するものです。理事会は輪番制で任命されるため、いずれ他の区分所有者(組合員)に交代することが分かっているため、自分の決定に対して責任を持つ可能性が高くなるのです。

理事になる期間が限られている。だからその間はしっかりと仕事をしよう。

公平性を保てる

  • また、輪番制にすることで、すべての区分所有者(組合員)に平等に役員を務める機会を与えることができます。これは、すべての区分所有者(組合員)がマンションに影響を与える決定に対して発言権を持つことを保証するものであり、有益です。

 

区分所有者の全員が理事になって発言できる機会がある。これこそ公平です。

輪番制のデメリット

輪番制にはいくつかの利点がありますが、欠点もあります。最も顕著な欠点は、以下の通りです。

適性の欠如

  • 理事は輪番制で、自動的に任命されます。例えば、任命された人が、身体的、又は精神的ハンディキャップがある場合はどうでしょう。例えば、身体が不自由で家から出ることができない、しゃべれない、歩けない、目が見えない等のハンディキャップをかかえていたらどうでしょうか?
    Alzheimer's disease Illustration又高齢者の何%かはアルツハイマー型認知症であるとの統計結果があります。就任する理事がそうであったらどうでしょう。
    理事の仕事ができませんし、意思決定できない場合は、理事に就任しない方が良い場合があります。
    ところが輪番制ですと、多少無理をしても就任するケースもあります。決まりだからと義務を全うしようとする人もいるでしょう。

現実的に理事職を遂行できない人が無理して就任すれば、マンション全体にとって不利益になる場合ばかりか、損害を与える場合もあります。

専門性の欠如

  • 理事は輪番制で任命されるため、適切な意思決定を行うために必要な専門知識を有していない場合があります。そのため、マンションの利益にならない決定がなされる可能性があり、問題となることがあります。

素人が理事になれば、マンションに不利益な決定がされるかも?

継続性の欠如

  • 輪番制は、理事が常に入れ替わるため、継続性の欠如につながることもあります。これは、マンションの長期的な目標に沿わない意思決定につながる可能性があり、問題となることがあります。

引き継いでないし前の理事の仕事はよくわからない?

説明責任の欠如

  • 理事は輪番制で任命されるため、その決定に対する責任が問われない場合があります。これは、マンションの最善の利益にならない決定につながる可能性があるため、問題となることがあります。

役員でなくなったので、私は責任を負わない と言えてしまうことです。

輪番制のデメリットを補う方法

適性の欠如をどう補うか

  • 管理規約を改正する方法があります。令和3年度改正国土交通省標準管理規約にこのような記載があります。
(役員の欠格条項)
第36条の2 次の各号のいずれかに該当する者は役員となることができない
一 精神の機能の障害により役員の職務を適正に遂行するにあたって必要な認知、判断及び意
思疎通を適切に行うことができない者・・・・
(国土交通省標準管理規約(令和3年度改正)より引用)
さて、精神の障害に加え身体の機能の障害を付け加えてみましょう。
(役員の欠格条項)
第36条の2 次の各号のいずれかに該当する者は役員となることができない
一 精神の機能の障害により役員の職務を適正に遂行するにあたって必要な認知、判断及び意
思疎通を適切に行うことができない者又は身体の機能の障害により、行動または意思疎通
  を適切に行うことができない者・・・・

いかがでしょうか。?
このように欠格条項を設けておけば、機械的に選任されるのではなく、適性が欠如した組合員の就任ができなくなります。

管理規約は管理組合の総会で特別決議要件を満たせば改正することができますので、まずは理事会に諮り検討するよう働きかけてみてください。

専門性の欠如をどう補うか

輪番制である以上、専門知識が乏しい理事が就任する場合はあり得るでしょう。

People with no expertise Illustration管理の知識に乏しい場合、ほとんどが管理会社のサポートを求めるでしょう。自主管理でしたら、マンション管理士等の外部専門家の意見を聞くのもいいかもしれません。修繕の知識に乏しい場合、マンション内で修繕や建築の知識を持つ方のアドバイスやサポートを依頼することが考えられるでしょう。

 

専門知識はないけど、管理会社のノウハウを利用したり、マンション内の専門家の援助を受ける。

継続性の欠如をどう補うか

  • 理事の入れ替わる輪番を、一度にすべての理事が入れ替わるのではなく、半数を改選し、半数は次年度に残るといったような半数改選制を採用するのもよいでしょう。
    また、全員が入れ替わる場合でも、次年度、前期の理事の一人ないし数人を理事会に出席してもらうなど、協力体制を作るのもよいでしょう。

前の理事さんも、時々助けてね。理事会にも出席してね。

説明責任の欠如をどう補うか

  • 審議の経過や実績、活動の成果を、例えば理事会の議事録にしっかり記載する。管理事務報告書にそれらの成果を残しておき、過去の理事会の実績を残しておくことが考えられます。

実績を見える形で残しておけば、次の理事さんに役に立ちます。

理事の任命に、輪番制がもっとも適している

マンションの理事を選任する場合、一般的な方法は、選挙、任命、そして輪番制です。

それぞれの方法には長所と短所がありますが、輪番制が最も効果的と思われます。

輪番制は、さまざまな区分所有者(組合員)が理事を務める機会を確保し、より多様な理事会を実現することができます。また、理事は、いずれ他の区分所有者(組合員)に交代することが分かっているため、自分の決定に対して責任を持つことができます。

最後に、すべての区分所有者が平等に役員になる機会を得られるので、マンションに影響を与える決定に対してすべての区分所有者が発言できるようになり、有益であると思われます。

みんなが理事になる機会が平等に与えられている。これが輪番制の最大のメリット

結論として、輪番制は、デメリットもあるものの、マンションの理事を任命するための最も効果的な方法であると考えられます。

輪番制は、さまざまな区分所有者が理事を務める機会を確保し、理事がその決定に対して責任を持ち、すべての区分所有者が平等に理事を務める機会を得ることができるのです。

最後まで読んでくれて、ありがとうございました。今後の運営改善に生かしていきたいと思います。感想、疑問、指摘などなんでも結構です。是非コメントをお願いします。(一番下です)

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