解消は困難?マンション内のゴミ屋敷と戦った事例

When I opened the door from the common hallway of the apartment building, I found trash piled high in a heap inside, and the smell was in the air, and I could see the annoyed faces of the residents. 管理組合の運営

自分が住んでいるマンションで、お部屋の前の玄関がゴミだらけで、異臭を放つ住戸があったらどうでしょう。
美観の問題はもちろん、通りかかる人に不快感を与えます。
具体的にはこんな例です。

●共用廊下を歩いていると異臭がする。なんだろうと思ってみると、お部屋の窓が開いている。
●共用廊下を歩いていると、玄関扉が開いており、部屋の中からゴミがせり出してきている。
●共用廊下に、謎のゴミ袋が散乱している。・・・etc

同じマンションで100人の人が住んでいれば、何人かは片付けがされていない家もあるでしょう。
しかし、家に抱え込んでいるゴミの量が尋常でない家があったらどうでしょう。
人それぞれ事情はあるにしろ、このようなゴミ屋敷の存在は、同じマンションに住む者としては迷惑です。マンションの価値も下がります。

この記事では、あるマンションで起きた驚くべき事件について、同じマンションに住む住民からの通報により発見されたゴミ屋敷に焦点を当てます。

ゴミ屋敷を発見した時取るべき方法について、マンション内住民として、また管理組合として、取れる方法について説明します。

また、ゴミ屋敷を発生させない方法があれば一番良いのですが、ゴミ屋敷を発生させる原因はそこに住んでいる人の要因(居住者マター)が多く、予防は困難です。
しかし、ゴミ屋敷が起こりにくい環境を整備することは可能ですので、それについても説明します。

この記事は以下の人に向けて書かれています。
・マンション内のゴミ屋敷を解消したい人、管理組合
・ゴミ屋敷を発生原因や起こりにくい環境について知りたい人、管理組合

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ゴミ屋敷とは

ゴミ屋敷とは、そもそもどんな状態を言っているのでしょうか?
お部屋、廊下・玄関等家中にゴミが散らかっている状態?、ゴミというより、異常に家の中に物が多い状態のこと?

大阪市ウェブサイトでは、「ごみ等を溜めこんで処理することができない状況となっている」家をごみ屋敷と呼んでいるようです。

When I opened the door from the common hallway of the apartment building, I found trash piled high in a heap inside, and the smell was in the air, and I could see the annoyed faces of the residents.一般的には、部屋の中、また場合によっては玄関周辺にゴミが溜まっており、それが本人または近隣住民に対して悪影響を及ぼす可能性のある管理不全な状態にある住居等のことを指します。

昨今、これら「ごみ屋敷」の存在が社会問題しています。
・美観を損ねるだけでなく、悪臭や害虫が発生しやすくなる ・猫や鳥獣等が寄ってくる ・住んでいる人はもちろんですが、近くによるだけで、カビやアレルギー症状を持つ人は注意が必要 ・火災など災害が発生した場合、ゴミが多いと火災の発生リスクが高まる

等、様々な問題を引き起こします。

Case1:ある日共用廊下に異様な臭いが立ち込める・怒る住民がとった行動は適切だったか

A young, thin Japanese woman frowning at the stench in front of her apartment.地方都市の中心部にある、築25年を経過した30戸程度のマンションで起こったことでした。

その家の玄関先には、ゴミが溢れ扉が閉まっていない状態でした。そして、周囲には、尿臭が立ち込めていました。理事長は、他の居住者の意見を聞き、対応を始めます。
まず、弁護士に相談します。内容証明郵便や民事調停、裁判所からの命令等、法的手段を取るより、民生委員、警察署からの安否確認を行おうということになります。
また、該当住戸は、インターホン設備が更新されておらず、居住者とコンタクトが取れません。

本人とコンタクトを取りづらい、廻りから孤立しているケースが多いです

インターホン設備を改修する時は、ロビーのインターホンと各住戸玄関のドアホン、住戸内の住宅情報の改修を行います。当然工事の際、お部屋の中に入る必要があるわけですが、とてもではないがお部屋の中に入れる状態ではなかったのではないかと推測されます。

マンション内の集会があった際、集まった数人の入居者と話し合ったところ、いきなり法的手段をとるより、まずは民生委員に依頼し、本人へのコンタクトを図った方が良いとの意見もあり、民生委員を通じて接触を図ることとなりました。

4ヶ月後、民生委員との接触状況を、行政機関に確認しましたが、個人情報のため、内容は明かされませんでした。

ゴミ屋敷状態は継続したままで、仕方なく、理事会で討議をし、管理員の見回りチェックを行うようにするなどで終わり、結局、ゴミ屋敷は改善しないまま、民生委員に対応を委ねることとなりました。

他人任せにせず、管理組合自身でなんらか対策を取るべきだったのでは?

 

管理規約上対応できる措置

上の事例では、法的措置ではなく、民生委員を通じた話し合いで解決しようとしましたが、結局ゴミ屋敷は改善しないままでした。
結果論ですが、管理規約に基づいて、強い措置を行った方が良かったと言えます。

国土交通省のマンション標準管理規約ではこうなっています。お住まいマンションにも同様の規定があるかどうかを確認してみましょう。

(マンション標準管理規約第66条 義務違反者に対する措置)
「第66条 区分所有者または占有者が建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合またはその行為をするおそれがある場合には、区分所有法57条から60条までの規定に基づき必要な措置を取ることができる。」

また区分所有法には下記条項が定められています。
(区分所有法)
区分所有法第57条(差し止め請求)、第58条(専有部分の使用禁止)、第59条(区分所有権の競売)、第60条(占有者に対する引渡し)

出典:国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)

 

Case2:引きこもりが長期化・ゴミを出さず室内に貯めこみゴミ屋敷になっている、放置するか、勧告を行うか

When you open the front door from the common hallway of the apartment building, you will see a trash heap of clothes, newspapers, magazines, and other trash piled high in the room and in the hallway.引きこもりが長期化し、室内に貯めこまれたゴミが蓄積していき、結果的にゴミ屋敷となったケースです。

子供(成人)と親の二人暮らしのその家は、子供が成人しても、子供は家から出ないいわゆる、引きこもり状態になっていました。親は働いていたので、家計は維持できていたのですが、子供は一日中家にいて、誰とも交流せず、家の中は貯めこんだ本、雑誌、衣類等、で一杯になっていきました。
廊下や部屋のゴミは家の容量の3分の1以上に達していた状態でした。

足の踏み場もないほど溜まったゴミ屋敷ですから、異臭を発するようになります。窓を閉め切っていて、異臭は部屋の外に波及していませんでしたが、部屋の中に入ると、埃と悪臭が酷い状態です。
外から呼んでも応答がなく、他の住民との交流もない様子です。

引きこもりの背景にはさまざまな要因があります。社会的な孤立感や心理的な問題、身体的な健康上の制約、経済的な困難など、個々の事情によって異なるでしょう。これらの要因が重なり、外出することや適切なゴミ処理を行うことが難しくなり、ゴミ屋敷となった例です。

管理組合としての対応方法

してはいけないことは、このまま放置することです。放置しては解決しませんし、ゴミ屋敷が悪化していくことでしょう。そして、悪臭や害虫の発生、そして、何より大量に積み重なったゴミに引火した場合の火災が怖いです。

今回のケースでは、一人暮らしではなく、家族の一人は働きにでており、社会生活を営んでいることが救いです。管理組合と家族の一人が何らかのコンタクトが取れる状態であるならば、粘り強く交渉しましょう。
・ゴミ出し、ゴミ回収業者の紹介
・他の住民が困っており、是正してほしいことの説明
・期限を定め、強硬措置も辞さないことを明言
また本来ならば当の本人がなすべきことですが、以下の助言を行うことが挙げられます。
支援体制の強化
社会福祉や精神保健の専門家、ゴミ処理に関する専門家など、適切な専門知識を持つ人々の協力を得ることを助言する。
場合によっては、具体的な専門家を紹介してもよい。引きこもりの心理的な問題に対しては、専門のカウンセリングや精神療法を受けることを助言。

ゴミ屋敷を放置した場合の悪影響

衛生上・防災上のリスクが高まる

ゴミの中には有害物質や菌が含まれており、それが室内に広がることで健康被害を引き起こす可能性があります。部屋内だけでなく、周辺住戸へ有害物質や菌の影響がひろがるおそれがあります。
また、ゴミの堆積が火災の火種となる危険性もあります。
普通の部屋の状態であれば漏水の異変に気付きますが、ゴミに埋もれている結果、直ぐにわからないことがあります。

近隣の住環境への悪影響(悪臭の発生、害虫・害獣を呼び寄せる)

さらに、ゴミ屋敷は周囲環境や生活環境にも悪影響を及ぼします。近隣住民への迷惑や不快感を引き起こすだけでなく、ゴミの臭いや害虫なども問題となります。
これらの状況が続けば、住民から避難、クレームを受けることで、当本人の孤立感や心理的な負担が増大し、問題解決を困難にします。

マンションの資産価値の低下

Chart of steadily declining real estate prices周囲に、視覚的、嗅覚的に不快感を与え、かつ、火災や害虫被害のリスクを高めるゴミ屋敷は、マンションの資産価値を低下させます。またゴミ屋敷に住む人間と、一棟の同じマンションの中で、集団生活を営みたいと思うでしょうか。

例えば、マンションを購入したいと見学しに来た人がいるとします。このようなゴミ屋敷を見かけたらどう思うでしょうか?。わざわざ購入したいとは思わないでしょう。

このように、マンション内のたった一つのゴミ屋敷の存在が、マンションの資産価値を下げることにつながるのです。

ゴミ屋敷の発生原因を分析し、改善・予防策を探る

買い物依存症の人

People with shopping addictions買い物依存症が原因になりやすいです。

理由は単純に部屋に置いておくものが増えるので、片付け自体ができないこと
買い物依存症の人は、物を買う行為に満足することが多く、買った物を使用しません。 ひどい人は通販の段ボールが部屋に積み重なり、開封もせずに放置している場合もあります。

 

買い物依存症の人の家がゴミ屋敷になりやすい理由

●所有欲のために物を買い続けた結果、物が蓄積する。

●買い物が優先され、他の活動や責任をおろそかにすることがあり、そのため、家事や片付けが疎かになり、ゴミがたまりやすくなる。

●物を買ったときの一時的に満たされる感覚を求めている結果、次々と新しい商品を購入してしまう。

●物に対して強い愛着を持っていることがあり、そのため、手放すことが難しく、ゴミや不要な物がたまりやすくなる。

●衝動的な買い物を繰り返す傾向があり、理性的な判断力が働かず、買い物の歯止めをかけることが難しくなる。その結果、無駄な物が買われ、ゴミが増えます。

物を捨てられない精神、収集癖のある人

A spirit of not being able to get rid of things, a habit of collecting things.収集癖・買い物癖や収集癖などがある人は、物が増えること自体に喜びを感じるという特徴があります。 買い物をすることや手元に物が増えていくことが快感になるため、不要なものであっても捨てられずにゴミ屋敷化が進みます。

 

 

物を捨てられない、収集癖がある人の家がゴミ屋敷になりやすい理由

●意味や価値のある物とのつながり

収集癖のある人は、物に対して特別な感情や思い入れを持ちがちです。彼らにとって、捨てることはその物との関係を切ることを意味するため、捨てることができない場合があります。

●過去の思い出や未来への希望

物には過去の思い出や未来への希望が詰まっている場合があります。収集癖のある人は、これらの思い出や希望を物に託して保持しようとする傾向があります。そのため、捨てることでこれらのつながりが失われるのを恐れ、物を捨てることができない場合があります。

●過剰な情報収集と欲求の充足

収集癖のある人は、新しい物を収集することで満足感や喜びを得ることがあります。しかし、過剰な情報収集や物の収集が続くと、物が増え続ける一方で整理整頓や捨てる作業が追いつかなくなる場合があります。

●捨てることへの不安や執着

物を捨てることができない人は、捨てることへの不安や執着が強いことがあります。過去の経験やトラウマ、もしくは物に対する執着心が原因で、物を手放すことができずに貯まり続ける傾向がある場合があります。

●感情のコントロールの問題

収集癖のある人は、物を集めることで感情をコントロールしようとすることがあります。物に囲まれることで安心感や安定感を得ようとするため、物を手放すことによって不安や不安定感が生じる場合があります

これらの要素は、収集癖のある人が物を捨てることができず、家がゴミ屋敷になりやすい理由として考えられます。ただし、個々の状況や背景によっても異なる場合があるため、一概には言えません。

孤独を紛らわすため

寂しさから物を集める
一人暮らしで人との関わりが少なく孤独感を強く感じている人の中には、その寂しさを埋めるために家の中に物が増えていく人がいます。 物を手放す事によって寂しさを感じることが耐えられなかったり、物を収集することで孤独感を紛らわせたいという理由でゴミ屋敷が作られるのです。

仕事の残業が続いて、休日が少なく片付ける時間がない人

生活が不規則な人の家がゴミ屋敷になりやすい理由

●物の管理ができない

不規則な生活をしている人は、日常的な物の管理が苦手な場合があります。物を使った後に片付ける習慣がなく、結果としてゴミや散らかりが生じることがあります。

●時間管理ができない

不規則な生活リズムでは、時間を上手く管理することが難しいです。掃除や整理整頓のための時間やエネルギーを確保することができず、家が散らかっていくことがあります。

●忙しさのせいで手が回らない

忙しい生活を送っている人は、家の掃除や整理整頓に割く時間が限られていることがあります。優先順位が低くなりがちで、ゴミや物の溜まりがちな状態が続くことがあります。

●意識が低い

生活が不規則であることに慣れてしまい、自分の生活環境に対する意識が低くなる場合があります。ゴミや散らかりが生じても気にならなくなる傾向があるため、そのまま放置してしまうことがあります。

●物を買いすぎる

不規則な生活をしている人は、気晴らしやストレス発散のために物を買いすぎることがあります。しかし、必要のない物が増えることで部屋が埋まり、ゴミが溜まりやすくなります。

以上が、生活が不規則な人の家がゴミ屋敷になりやすい理由です。ただし、個人によって状況は異なるため、必ずしも全てが当てはまるわけではありません。

うつ病、認知症、セルフネグレクトの人が持つ傾向

ゴミ屋敷に住んでいる人は、他の住民とコンタクトを取っていないケースが多いです。
また他の住民も周囲と違う状況に見て見ぬふりをするケースが多いです。
廊下にゴミが散乱していることや、臭いが立ち込めたり、他の住民に生活を及ぼすようになって初めて、問題になります。

●セルフネグレクト

セルフネグレクトとは、個人が自分自身のケア、衛生、身の回りのことに関心を払わない、あるいは困難であることを意味します。うつ病や認知症の状態下にある人々は、ゴミ屋敷となる理由がいくつか考えられます。

●意欲の喪失

うつ病や認知症の状態では、個人の意欲が低下し、日常のタスクに取り組むことが難しくなります。その結果、ゴミの処理や掃除などの家事に対する関心やエネルギーが欠如し、ゴミが積み重なる原因となります。

●認知機能の低下

認知症の状態では、判断力や記憶力の低下が見られることがあります。これにより、ゴミの適切な処理方法や回収日の把握が困難になります。また、物の整理が難しくなり、ゴミが溜まりやすくなります。

●心理的な障害

うつ病や認知症の状態下では、個人の心理的な状態が不安や無力感、絶望感といった負の感情に支配されることがあります。これによって、ゴミの処理や掃除といった日常の活動に対する関心や動機づけが失われ、ゴミ屋敷化する可能性が高まります。

●社会的な孤立

うつ病や認知症の状態では、個人の社会的な関与が低下することがあります。友人や家族のサポートの欠如や社会的な孤立は、ゴミの処理や掃除といった日常の活動のモチベーションを低下させる要因となります。

これらの理由により、うつ病や認知症の状態下にある人々は、ゴミ屋敷になりやすい傾向があります。

改善・回復に向けて、管理組合からの継続的なフォロー

改善・回復に向けて、本人自身が、適切な支援や治療、または介護サービスを受けることが第一ですが、親族や知己を通じ、改善に向けてのフォロー体制を構築してもらうなど、住民全体の代表として管理組合から申し入れを行うのがよいでしょう。

相互扶助・コミュニケーションの大事さ

ゴミ屋敷は一時の怠慢や無頓着さから始まることが多く、徐々に問題が蓄積されます。この状態に陥ってしまうと、出口を見つけることが難しくなります。

また、精神の問題に起因するものは、回復に時間がかかる場合が多く、管理組合が対応せず放置しておいても酷くなる一方のケースが多いです。

同じマンションに住む他の住民にとって、ゴミ屋敷は迷惑極まりないものであり、生活環境に悪影響を与えます。しかし、このような事件が起きたことで、住民たちはお互いに支え合い、より良い共同生活を築く意識を高めることができたのではないでしょうか。

周囲の暖かいフォローで、ゴミ屋敷が改善すれば理想ですが、現実はそうはいきません。無関心、見て見ぬふり、放置、他人任せを続けた結果、状況がより一層悪くなる場合も多いでしょう。

また、注意、警告、勧告を繰り返し、本人も悩んだ末にマンションを退去する場合もあるでしょうが、住民全体の住環境を維持する為であり、致し方ない部分がはあります。

管理組合は、住民代表として、ゴミ屋敷を発生させた住民に対し必要な措置を取り続け、そして本人の回復を期待しましょう。

最後まで読んでくれて、ありがとうございました。今後の運営改善に生かしていきたいと思います。感想、疑問、指摘などなんでも結構です。是非コメントをお願いします。(一番下です)

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