シニア向け分譲マンションやサービス付高齢者住宅から学ぶ、高齢者が住みやすいマンションへの変身方法

バリアフリーマンション 管理組合の運営
バリアフリーマンション

人は年齢を重ねるごとに、ニーズや生活スタイルが変化していきます。自分が年を取った時のことは、想像したくないことかもしれません。

しかし、体が思うように動かなくなった、体力がなくなった自分に思いをはせ、その時に暮らしやすい住まいは何か、今から考えてみるのもよいのではないでしょうか。

バリアフリーに対応しや生活娯楽施設を備えた「シニア向け分譲マンション」や、バリアフリーに対応し、安否確認や生活相談のサービスが受けられる「サービス付高齢者住宅(サ高住)」が、増加しており、高齢者の住まいのニーズに応えるものとなっているようです。

今回、通常の分譲マンションは、上記の「シニア向け分譲マンション」や「サ高住」のように、必ずしも高齢者のニーズにマッチしているものではないものの、良い面を参考にしつつ、高齢者に住みよいマンションに近づける方法について解説していきたいと思います。

老いは誰にもやってきます。そして、現在同じマンションに住んでいる人も年をとります。その時皆が住みよいマンションになっていれば、幸せですよね。

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高齢者が住みやすいマンションとは

以下の条件を満たすのが理想です。

建物設備面 ・・・バリアフリーが図られている  
管理面   ・・・計画的・安定的かつ資金不足が発生しておらず、運営されている
ソフト面  ・・・緊急時の対応や安心して住めるコミュニティの充実が図られている
利便性   ・・・医療施設や介護施設が近く、普段の買い物に便利がよい

以下、高齢者に住みよいマンションに近づけていく方法についてご説明いたします。

(設備面)シニア向け分譲マンション・サ高住のよいところを取り入れる

今回のテーマは、通常の分譲マンションを、いかに、高齢者に住みよいものにしていくかです。

モデルとなるシニア(高齢者)向け分譲マンション、サ高住(サービス付高齢者向き住宅)の長所を取り入れていきましょう。

建物設備面では、バリアフリー化を目指すことが挙げられます。以下をヒントにして、改修の目安にしてください。

目指す方向 ★バリアフリー重視★
共用部

・段差を解消、床面のノンスリップ化、エレベーター階数表示に点字ブロック、段差のあるところのスロープ設置
専有部
・室内ドアの引き戸への変更、室内の段差の解消、浴槽などの段差や手すりの取り付け、廊下の手すり取り付け、床材を滑りにくく柔らかな素材への変更、緊急時のコールボタン

また、あった方がよい設備、サービスを挙げます。

プラスα あった方がよい
緊急時の対応
・緊急連絡ができる高齢者向けマンション用インターホンと福祉施設用ナースコール
・フロントコンシェルジュがいる場合、緊急連絡先の病院や医療施設を取次サービスに加える

通常のマンションとの比較表を参考としてお付けします。

最後に、全て高齢者のニーズに当てはまらず、必須ではないものを挙げます。

必要性が低いもの
いつも使うわけではない、維持管理に相当の費用を要する共用設備
・プール、シアタールーム、図書館、レストラン
健常な人の必要性が低いサービス
・安否確認、生活相談生活支援(掃除、買物代行)

(管理面)長く住みつづけられるかどうか

収入面や住宅ローンを組みずらいことなど、高齢になると、自由に住み替えるのも難しくなることがよくあります。長く住み続けられるように、以下の項目をチェックしてみてくださいね。

必要な管理がされ、管理費勘定に問題がない

管理費勘定は毎年黒字基調でしょうか?。昨今の経済情勢からみて、収入は毎年3~4%程度上がっていくのが望ましいです。
近年の物価高、光熱費高、保険料のアップなど支出増の要因はあれど、管理費や各種使用料等の収入は増えていきません。

管理費勘定が赤字に陥ることを防ぐには、定額委託業務費・各種点検費用の減額ができないかどうかを検討します。
支出を見直しても、管理費勘定が赤字になる場合、管理費や駐車場使用料など(組合員が納めているものです)の増額を検討しないといけません。
現役世代より、収入面で不利なシニア世代は、支出増は痛い出費となります。

ここをチェック✅
□ 管理費勘定は毎年黒字か(臨時要因で赤字になる場合がある)
□ 駐車場契約は変動します。空き区画が出ているなど、減少傾向にないかどうか
□ 火災保険の見直しを検討

物価が安定していた時代は過去のものです。収支のバランスを確認し

日常管理に支障がでないようにする必要があります。

管理組合運営が健全に行われている

高齢世帯の比率が多くなると、役員の成り手不足に陥りがちです。

組合員本人でなくても(例えば組合員の子や配偶者等が)役員資格を得られるよう管理規約を改正する。

WEB会議システムを導入し、遠隔でも会議が行えるようにする。管理会社や特定の組合員だけではなく、セカンドオピニオンが得られる体制づくりを行う(弁護士、マンション管理士、建築士等の専門家の支援体制)など、役員の成り手不足を解消し健全な管理組合運営を行いましょう。

長期修繕計画に基づいて計画的に修繕がされ、資金不足に陥っていない

ここがきちんとできていれば、管理が順調であると言えるでしょう。築年数が進めば進む程、修繕する部位や金額が増え、修繕が困難になる事例が多く発生しています。

ここをチェック✅
□ 長期修繕計画は5年をめどに改訂され、計画通り修繕工事が実施されている。
□ 一時金徴収、管理組合の借入金はない。
□ 長期修繕計画に基づいて、計画的に修繕積立金が見直されている。

長期修繕計画は凡そ5年ごとに改訂されることが望ましく、改訂の際、修繕積立金を改訂することも多いようです。

築年数が古くなると修繕部位が増え、かつ昨今の物価高による工事金額の高騰が重なり、どうしても修繕積立金にしわ寄せが来ます。

ここでも、収入面で現役世代に劣るシニア世代は不利で、修繕積立金のアップは家計にのしかかってきます。

修繕委員会について

修繕委員会を立ち上げる組合が多くあります。
大規模修繕へ準備の為、マンション内で希望者を募り、修繕委員に就任することが多いのですが、大規模修繕工事に関わらず、築年数が古くなると、修繕カ所も増えまた多額の工事費が支出されますので、修繕案件を修繕委員会が審議し、意見が理事会に具申され決定する業務フローを確立した方がよいでしょう。

築25年から30年あたりで、大規模修繕工事、昇降機フルリニューアル工事、給水・給湯管更生工事など、工事金額が高額になる工事が立て続けにありますので、資金が足らなくなる組合が多いです。高齢者対応のためバリアフリー化を行う場合は、早めに取り掛かった方がよいでしょう。

大規模修繕工事など、想定外の支出増はなさそうか

昨今の物価高、人件費高により、大規模修繕工事を行おうとした際、修繕積立金で工事資金が賄えず借入をしたり、区分所有者から一時金を徴収する組合も多いです。
そもそも、一時的な負担がないように修繕積立金を計画的に積み立てているのです。想定外の支出は、シニア層にとって痛い出費となります。
計画的に修繕を行っていくことで、安心して住み続けられます。

計画を立てる。やるべき修繕は適切な時期に実施する。修繕委員、セカンドオピニオンをうまく活用する。必要な積立金をどのように積み立てるか決定しておく。

(ソフト面)コミュニティ・生活支援・緊急時対応体制

マンション内のイベントを企画、運営する自治会や慣例があるか

同じマンションで暮らす方々にとって、イベントは人間関係の構築のきっかけになることが多いです。
高齢になると、若いころより活動量が減り、日常会話も同じ人とばかりになりがちです。
自治会など厄介であると敬遠されがちではあるのですが、積極的に自治会活動に関与することで、今までできなかった人間関係もできてきます。人間関係のつながりや関わりも生きていくうえでは重要ですよね。
年間イベント計画を配布または、掲示しておくのもよいのではないでしょうか?

こんな感じです。

居住者の年齢構成には高齢者が多いか

シニア向け分譲マンションやサ高住のように、必ずしも高齢者ばかりというわけではないのが、通常の分譲マンションです。
高齢者世帯同士で暮らすメリットは多くあります。似た生活スタイルであれば、気を使うことも減るでしょう。
一方、子育て世帯と高齢者夫婦世帯では、生活スタイルが違いますので、お互い気を使うことも多いでしょう。子供は遊び、活動し、騒音も出し、いたずらをし迷惑をかけることもあります。一方元気な姿を見る高齢者も、楽しんだりエネルギーをもらうこともあるでしょう。必ずしもデメリットばかりではありません。

(利便性)複合用途マンションの利便性アップ方法

例えば、1階が店舗、2階以上が住宅用途のマンションがこれに当たります。
店舗のテナントはあくまでオーナーが決めることなのですが、住民の高齢化を見据えて、医療、介護関係施設を誘致することも検討されてよいのではないでしょうか?。住民にとっては、医療施設があれば利便性が向上します。

まとめ

高齢者が住みやすいマンションについて説明してきました。① バリアフリー化が図られている  ② 管理組合が、計画的・安定的・資金不足もなく運営されている ③緊急時の対応や安心して住めるコミュニティの充実が図られている については、通常の分譲マンションでも、十分達成可能であることがご理解いただけたと思います。

最後まで読んでくれて、ありがとうございました。今後の運営改善に生かしていきたいと思います。感想、疑問、指摘などなんでも結構です。是非コメントをお願いします。(一番下です)

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