植栽絡みのトラブルどう防ぎ解決するか。住民が生育した植栽を伐採・害虫被害にあった例

住民が共用部の植栽スペースで花を植えていた。知らずに伐採してしまった管理員が大目玉を食らった例 住戸扉前の植栽から虫発生、クレーム後、植栽をベランダに移動した後もまた発生 共用スペース

マンションの共有スペース、特に植栽専用のスペースは、目の保養や心の安らぎを与えコミュニティの源となります。
しかし、適切に管理されなければ、紛争や不満の原因にもなり得ます。この記事では、共有スペースに住民が植えた花を、管理員が知らずに切り倒してしまい、大きな反発を招いた事例を紹介します。

さらに、ある住戸の前に植えられていた植物が害虫の侵入を招き、植物をバルコニーに移した後も、苦情やさらなる問題を引き起こした事例についても紹介します。

植物も生き物です。枯れたり育ったり、虫が湧いたり、呼ぼ寄せたり、取り扱い次第ではトラブルの元になりますが、上手に取り扱えば、生活に彩りを与えてくれるでしょう。

 

この記事はこんな人におすすめです。
・植栽を家で育てたい(育てている)人

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住民が植えていた花壇の花を管理員が勝手に伐採してしまった事例

最初のケースでは、花壇(マンションの共用部です)に、住民の一人が花を植えていましたが、管理員は普通見ない花が育っているのを見て、これは自然に生えたものだろうと思い、伐採してしまいました。
大切に育てていた住民は、伐採した管理員にクレームをいいました。住民が共用部の植栽スペースで花を植えていた。知らずに伐採してしまった管理員が大目玉を食らった例 住戸扉前の植栽から虫発生、クレーム後、植栽をベランダに移動した後もまた発生
管理員は、住民が植えて育てていたことを知らなかったのです。
伐採した行為は、植栽の生育に時間と労力(愛情)を注いでいた住民に悲しみを与えました。
管理業務というのは、単なる作業ではなく、血の通った人間同士のコミュニケーションで成り立っていることを痛感し、コミュニケーションの重要性を再認識させるものとなりました。

種をまき育てていた住民と伐採をした管理員、どっちが正しい?

共用部分に種をまき、植物を育てる行為が、管理規約や施行規則ではっきり禁止されていれば別ですが、禁止されていない場合はどうでしょう。
居住者に迷惑をかけ危険を感じることがないとしたら、生育はできると考えてもよいでしょう。ただし、いくら禁止されていないからと言って、大きな木等を植えたり、畑を作ったり等、常識外な行為はできません。黙認される場合は、他の組合員、管理会社に伝えておくことは最低限しておきたいですね。つまり、生育できなくはないが、組合がその行為を認める(暗黙も含む)ことが必要です。

上記の了解を取らず、一人が勝手に共用部の花壇に種をまいて育てているだけならば、管理員が普段の清掃の一環として、植えた花を伐採するのは、なんら悪いことではなりません。

こっそり育てていたら、伐採されて当然、文句は言えません。
自分はここで育ててるんだよ。伐採しないでねの周知が大事です。

伐採された行為は、住民からみれば、種をまきそして育てていたので、自分の庭の庭木を勝手に伐採されたようなものです。ある意味怒って当然です。共用部はみな使う権利を持っているのですから、自分が使って何が悪いのだということです。

どうしたらよかったのか

管理規約・規則にないから、住民が花壇に植えてもよいかといえば、そうではありません。この場合、事前に管理組合、又は理事会に許可を求めることが良い方法です。そして、管理会社は住民の行動をいち早く管理組合に報告し指示を仰ぎ、改善策を提案しよりよい管理を目指すべきです。

管理員(管理会社)は共有スペースでの活動を把握し、住民の行為を尊重しつつ業務を行う。
(注意・気づき、コミュニケーションの深化)
居住者は誤解を避けるために、自分の意図や活動を、周囲に伝えるべきです。
(アナウンスメント)
共有スペースの利用について明確なガイドラインを設け、それを守ることで、このような事故を防ぐことができます。
(管理運営の改善)

植栽による害虫の発生

2つ目の事例では、住戸の前に置かれた植栽が害虫の侵入につながったケースです。2度目の苦情で植栽の鉢をベランダに移しただけで、害虫は追い払われていなかったことが判明し、被害住戸の害虫被害はおさまりませんでした。

こんなことがありました。

以前、自宅の扉の前に門があって、そこに観葉植物を置いている人がいたんです。その観葉植物から虫が出てきて、あまりに酷いのでその人に文句を言ったんです。一旦玄関前の植栽はなくなっていたのですが・・

 

実はその植物はベランダに移動させただけで、虫はまだいたんですね。よくみたらその人のベランダに植栽は移動されていて、そこから虫が出てきているようなのです。どうやら土のなかに生息している虫らしいです。

 

その虫は、こちらのリビングの網戸を通り抜けて私の部屋の中にも入ってきているんです。困っています。なんとかならないですか?

植栽を育てることは、同時に虫が発生し、周りの住戸に被害を及ぼすことがあります。上のケースでは鉢に植えられた植物ですので、鉢を処分するか、消毒することで解決しそうです。

もっと厄介なケースは、1階に土のある専用庭があり、上階に虫が上ってくるケースです。設立当初から土がある場合、管理組合で虫を除去する対策を行うことも必要になってきそうですね。

また、住民間で紛争になった場合、その虫が本当に私たちの家から来たのか?証拠はあるのか等、解決には難題が控えています。

使用規則に植物の生育規則なるものはないのが普通

通常、植物の生育規則なるものはないのが普通です。あるとすれば、使用規則(使用細則)に以下の条文があります。
これを見ると大規模な花壇は禁止されていますが、一本ものの植栽鉢は禁止されていませんね。

(使用規則の一例)
(バルコニー及び屋上テラスでの禁止行為)
第11条 バルコニー等の専用使用権者は、バルコニー及び屋上テラスにおいて、
次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 煉瓦、モルタル、コンクリート及び多量の土砂による花壇等(芝生を含
む。)の設置又は造成

害虫の蔓延の予防と管理

特に管理会社の業務になると思いますが、住宅地、特に共有スペースでは、害虫の侵入を防ぐことが極めて重要である。以下にいくつかのチェックポイントを示します。
もちろん、個人宅でも有用ですので参考にしてみてください。

・害虫の兆候がないか定期的に植物を点検する。
・害虫は枯れそうな植物や不健康な植物に、はびこりやすいので植物が健康であることを確認する。
・害虫に強い品種を使用する。
・蔓延が発生した場合は、蔓延を防ぐために迅速に対処することが重要である。そのためには、蔓延した植物を取り除くか、殺虫剤を使用するか、害虫駆除の専門家に相談する。

まとめ

共有の植栽スペースは、美観の向上やコミュニティの絆など、多くのメリットをもたらす可能性があります。
そして、個人所有の植栽も、個人の満足や生きがいに繋がっているだけでなく、住戸アクセント(シンボリツリー)としての意義、来訪する人の心を癒すことなど、数々の利点があります。

上記の事例は、せっかく植えてもコミュニケーションの欠如から伐採されたり、適切に管理されないため、害虫が発生するなど、どこにでも起こりうる問題を浮き彫りにしています。

マンション管理会社(実務的には管理員、そしてフロントマン)と居住者は効果的なコミュニケーションを図り、意図しない植栽の破壊や害虫の発生といった問題を未然に防ぐための積極的な対策を講じる必要があり、そうした努力を継続することで、これらのスペースがコミュニティの喜びと安らぎの源であり続けることができるのです。

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